しょうゆキャラメルソース

「キッコースギ」ブランドの確立

『杉野味噌醤油』は、100年以上にわたり小矢部の人たちの生活を支えてきた醤油と味噌の蔵元。2代目のころに立ち上げた独自ブランドの「キッコースギ」は、地元を中心に多くの人に親しまれている。その名をより確かなものにしたのは、3代目のときにはじまり定番商品となった「カンロ醤油」。当時から今も変わらず味わいは好評で、醤油の出来栄えを競う「全国醤油品評会」では2019年に「食料産業局長賞」、2022年には「優秀賞」を受賞している。今や、地元に留まらない全国に誇る醤油となった。

店頭に並ぶ醤油の数々
キッコースギと看板商品のロゴ

よいものを使って丁寧に作る

5代目となる現在も、創業時からの「よいものを使って丁寧に作る。どんなに厳しい状況でも、商品の質は落とさない」という理念は変わらない。富山県産丸大豆など材料は厳選し、地元の湧き水で醸し、味を守り続けている。その中でも、チェーン展開のスーパーやインターネットでの販売など地道な販路の拡大、時代の食文化にあった商品の開発など、変化を絶やさないのが同社の強みの一つでもある。

創業時に量り売りに使われていたとされる枡
貯蔵樽からも歴史を感じる
味噌も看板商品の一つ

令和で迎えた新展開

近年でも、新しい商品をリリースし続けている。その一つが「本醸造 令和富丸しょうゆ」。無添加にこだわって作られた醤油で、材料はすべて国産のものを使っている。まろやかで甘味は少なく、醤油本来の味が楽しめる。一方で、創業100年の節目に開発が進み、2022年に販売を始めた「しょうゆキャラメルソース」は、これまでとは一線を画する新展開。丁寧に溶かした砂糖に、クリームと本醸造の醤油を加えてソースに仕上げている。また、地域のお菓子屋さんと協力して作っているパウンドケーキもイベントなどで人気を集めている。

新しい展開の商品
5代目の杉野雄一さん。丹念に醤油を仕込む

醤油の可能性を広げる

「しょうゆキャラメルソース」のパッケージには、「キャラメルソースでおめかししましょ」とのキャッチコピーがある。「おめかし」とは、いつもの食べ物がソースでよりおいしくなるワクワク感を意味している。かぼちゃやさつまいもなどの野菜や餅だけでなく、アイスやフルーツ、パンなど、これまで醤油にはなかったような洋風な食べ合わせもおすすめできる。醤油の可能性を広げるスイーツで、この先の100年が楽しみになる。

愛らしいパッケージにはついつい手が伸びる
これからも小矢部の暮らしを支えていく