えごまの葉っぱのおかずみそ

農業初心者からのスタート

入善町は、米やスイカ、イチゴなどの農業が盛んな地域だ。菊やキュウリを栽培する『福島農園』は、『えごまのめぐみ』の福島恵美さんの旦那さんの実家。結婚するまではえごまの栽培どころか、農業にも携わっていなかった。そんな恵美さんが、えごまの栽培を始めたのは、「アトピーの長男に食べさせたいものを作りたい」との想いがきっかけだった。農園の畑の一角を借りて、初心者からのスタートだった。

『福島農園』のえごま畑
夏を過ぎる頃に、白色の花が咲く

入善町にえごま栽培を広める

2010年からえごまの栽培を始めて、歳を追うごとにすっかりとえごまの栽培に慣れ、トラクターを運転して土を耕すところから自分でするようになり、周囲に驚かれたそう。そろそろ栽培に一区切りつけようとしていたころ、入善町でえごまの栽培に力を入れる取り組みが始まった。当時、町内でえごまを栽培していたのが恵美さんしかおらず、町からの声掛けで、この取り組みに参加することになった。これまでの恵美さんのノウハウと、鳥獣害にも強く栽培がしやすいえごまの特徴で、町内にも栽培が広まった。

背丈ほどまで伸びたえごまと福島恵美さん
トラクターも自分で運転するようになった

農薬や化学肥料を使わない栽培

4月に種をまき、7月に葉っぱを収穫、9月には白い花が咲く。花が落ちた後にえごまの実がなると、9月下旬から実の収穫が始まる。根元から切り倒し収穫したら、数日間ハウスで乾燥させて手作業で脱穀をする。えごまを食品として生かすには収穫後の丁寧な処理が大切。脱穀し乾燥させ、大まかなゴミを取り除いて、水が透きとおるほど丁寧に実を洗う。さらに十分に乾燥させた後、細かいゴミを取り除く。すべて終わるころには、11月を迎える。農薬や化学肥料を使わずに育った『えごまのめぐみ』のえごまは、安全性が高く、安心して食べることができる。

えごまの茎は太く、強い根を張る
花の下には実ができる
実は洗うことと乾燥させることが大切

余すところなくえごまの魅力を伝える

実から搾りだす「えごま油」、その搾りかすを焙煎して作る「クランチ」、葉っぱからは、「葉っぱパウダー」や「おかずみそ」を作るなど、えごまは余すところがない。「おかずみそ」は、入善町の『丸善醤油』の味噌と深海の塩を使った入善づくしの一品で、人気が高い。
ごはんの上にそのままのせて食べるのはもちろん、ナスなどの焼き野菜や豆腐、厚揚げなどの食材との相性も良い。今年の夏からは、県内の事業者と協力して『北陸エゴマ品質向上委員会』を発足し、えごまの魅力の発信にも力を入れている。

葉っぱは花が咲く前の若いうちに収穫する
えごまの葉っぱのおかずみそ
ごはんにのせてもおいしくいただける