玄米珈琲

米作りに適した土地

入善町は、黒部川扇状地湧水群にあり、北アルプス・立山連峰から流れる清らかで冷たい雪解け水の恩恵が受けられる地域。水はけが良く、土地も広く、おいしい米を育てるには申し分ない環境だ。『アグリライズ南保』は、そのような土地でコシヒカリを中心に栽培している米農家。自然の恩恵を最大限に活かした丁寧な管理で、甘みが強く、冷めてもおいしい米は、その品質を評価され数々の賞を受賞している。

秋の収穫直前の稲穂
いくつもの賞を受賞するほど品質には定評がある

姉妹で農業に取り組む

代表の藤澤ちひろさんは、2011年に妹と家業の米農家を手伝うようになり、2015年に『アグリライズ南保』を設立した。当時は、農業の6次化ブームもあり、米を使った加工品を何かできないかと考えていた。そこで着目したのは、コシヒカリの玄米。焙煎した「黒焼き玄米」は、古くから漢方の世界で「玄神(玄心)」と呼ばれ、さまざまな病気に処方されてきた。翌年の2016年に、自分自身がコーヒー好きなこともあり、コシヒカリの玄米を焙煎して、コーヒーの製造にチャレンジした。

入善町に広い田んぼを持つ
姉妹で1年間を通じて米作りに取り組んでいる

12時間焙煎したカフェインレスのコーヒー

玄米を風味よく焙煎するには、フライパンやコーヒーなどの焙煎機では難しく、苦労が重なった。試行錯誤の末、「玄米珈琲」には、専用の焙煎機を使うことに決めた。コシヒカリの玄米を12時間じっくりと焙煎できるため、玄米の香ばしい香りと苦味、米の甘みが楽しめる。濃く入れるとコーヒーらしい深い色合いが出るが、ノンカフェインのため、コーヒーの代替品として子供や妊娠中の人、寝る前の一服でも飲めるやさしい飲み物。藤澤さん自身も妊娠中だけでなく、日常の飲み物としてよく飲んでいる。

焙煎したコシヒカリの玄米は艶のある黒色に
玄米の香りが豊かな玄米珈琲

玄米を楽しんでもらって米の消費に繋げる

「玄米珈琲」には、40種以上の栄養素が含まれている。焙煎することでポリフェノールやミネラルはさらに豊富になり、食物繊維も多く、炭の吸着力で体内の老廃物を出す役割も強まるため、お通じの改善にも期待ができる。最近では、玄米珈琲を売り出すだけでなく、玄米珈琲を近隣のお店に依頼して、クッキーやジェラートにすることで、より多くの人に知ってもらうことにも力を入れている。どのようなかたちであれ、お米のおいしさや魅力に気付き、たくさん食べてほしいとの願いが込められている。

ティーパックなので好みの濃さに調整しやすい
見た目はコーヒーそのまま
お米の形をした「玄米クッキー」