玉子焼きから昆布締めへ
立山町に本社を構える『丸玉』は、1986年に創業した。もともとは、玉子焼きを主力商品としていた食品会社で、当時玉子焼きを作るときに使われていた「丸いおたま」が社名の由来とされている。創業からしばらくして、取引先に寿司屋が多かったことや、仕入れ先の目処が立ったことなどから、昆布締めを作り始めるようになり今に至る。半世紀近く食と向き合ってきたスピリッツは、今も変わらず商品づくりに活かされている。
シンプルだからこそ奥深い、昆布締めの世界
「昆布締め」は、江戸時代から明治時代にかけて、北海道と大阪を行き来していた「北前船」によって、富山にも昆布が運ばれていたことが始まりだとされている。魚の刺身を昆布に挟むことで、昆布の旨みを刺身に移す。作り方は非常にシンプルだ。だからこそ素材の味が生き、作り手によって大きく味が変わるのが、昆布締めのおもしろさでもある。魚の持つ水分量や昆布で締める時間の調整など、突き詰めるほどに奥が深い。
じっくりと、昆布の旨みを刺し身に移す
『丸玉」の昆布締めは、締める時間が比較的長いのも特徴の一つ。約1日を費やすことで、魚の水分が少しずつ昆布をやわらかくし、昆布の旨みがじっくりと刺身に沁み入る。このとき、魚の種類によって利尻昆布や真昆布などの厚さや味の異なる昆布を使い分けることで、よりバランスの良い旨みを生み出している。また、手作業で刻んだ鮮度の良い生姜を隠し味として挟んでいて、一味違った刺身が味わえる。
昆布と向き合い「旨み」を追求する
現在、季節によって変えながら、8種の魚介で昆布締めを作っている。魚の味の濃淡や身のやわらかさなどを見極めながら、魚と昆布、塩分などのバランスを絶えず研究している。また、食卓のシーンを考えて、昆布締めをそのまま食べるだけでなく、カルパッチョや手まり寿司、お茶漬けなどの昆布締めの楽しみ方の提案にも積極的だ。昆布の旨みを活かした富山ならでは食文化の伝道師として、『丸玉』の歩みは続く。