エイトロックスムース セットアップ

富山県のハトムギ生産を支える

かつて美しさの象徴、中国の楊貴妃をも魅了したといわれるハトムギ。ガンや炎症を抑える効果があると言われ、乾燥によるくすみや大人ニキビ、シミ、しわ、など肌トラブルの改善や美肌のための成分としても使われている。そんなハトムギの栽培面積、生産量ともに国内一位を誇るのが富山県である。小矢部市はその栽培に力を入れてきた地域の一つだ。懸命にハトムギと向き合う生産者の頭を悩ませていたのが、脱穀したときに出る“ぬか”。もともと廃棄されるしかなかった大量のぬかを捨てずに活用できないかと、小矢部市の会社が立ち上がった。

人の背丈を優に超えるほど育ったハトムギ畑
古くから漢方素材としても利用されてきた

技術と経験を活かした新たな挑戦

市内の5社が共同で捨てられていたぬかの再利用を模索するなかで「ハトムギぬか油」というオイルの抽出に成功した。そのうちの1社が、富山を拠点とするアパレル縫製メーカー『株式会社ミヤモリ』だ。スポーツウェアを中心とした衣服の生産を行なっていて、体操服事業などで全国600店舗ほどに卸している。ハトムギ成分を贅沢に含んだアップサイクルオイル「ハトムギぬか油」を布地に活用できないかと『株式会社ミヤモリ』が生み出したのが、世界初の「衣料配合用ハトムギぬか油剤」である。

1966年の創業以来、半世紀にわたって繊維業を営んできた
学校用の体操服など、機能面を重視した自社ブランドを持つ
ハトムギの“ぬか”から生まれた、ぬか油と保湿美容製剤

「循環する」ものづくりを目指して

小矢部市のある富山県呉西地方の方言「ねるこっちゃ」。「おやすみなさってください」を表す言葉だ。どこか愛らしい響きをもつ言葉を用いた『Nercocia.(ネルコッチャ)』は、ハトムギぬか油を配合したルームウェアなどを展開するアップサイクルブランドとして、『株式会社ミヤモリ』が2020年にスタートした。捨てられるはずだったぬかを再利用すること、肌を整えるハトムギの成分がからだの中を巡ること、地域や日本の原料にこだわることで持続的なうるおいが生まれること。『Nercocia.』が目指す「循環する」ものづくりは、未来へと繋がる第一歩となっている。

『Nercocia.』の広報担当の大園さんにお話しを伺った
ルームウェアやナイトウェアなどの商品を展開
ハトムギぬか油が配合されたスキンケアやヘアケアアイテム

「着るスキンケア」を実現したリラクシングウェア

実際に『Nercocia.』のウェアを着ることが多い大園さんは「柔らかくて暖かいですよ」と話す。しっとりとした生地は、触ってみるだけでも着心地の良さが感じられる。衣料用の生地には温感、涼感を感じるものなど様々な機能加工剤がある。『Nercocia.』が開発したハトムギぬか油を使用した加工剤は、着用することで水分の蒸散による肌の乾燥を抑え、潤いを保つことができる。その効果は従来の加工に比べ、洗濯を繰り替えてしても変わりにくい。まさに「着るスキンケア」だ。ユニセックスで年齢を意識させないデザインはプレゼントとして選ぶ人も多い。

保湿性にも優れた「Eight lock Smooth Cotton(エイトロックスムース)」シリーズ

未来へつなげるバトン

ハトムギにとどまらず、使用している生地や香り成分、パッケージに至るまで、必要なものはできる限り富山のものを使いたいという想いがある。ヘアケアシリーズで使われているのは、富山県産の無農薬かつ化学肥料不使用で育った青紫蘇や赤ちりめんシソ。包みを開くと、ふんわりと紫蘇の香りが癒してくれる。また、ぬかと同じく今まで捨てられてきたものの再生にも積極的に着手している。生産過程でどうしても出てしまう裁断くずは鉛筆に変え、文具メーカー以外では異例の文房具の賞を受賞した。捨てられてしまうものに光を当てる『Nercocia.』のアイテムは、新しい未来へつなげるためのバトンともいえる。

富山県産の紫蘇を使ったヘアケアは、思わず手に取りたくなるパッケージ
裁断くずを間接加熱して炭を作り出すプロジェクトから生まれた「服の鉛筆」
ミヤモリだけでも年間20トンも発生する裁断くず。CO2排出量の削減にもつながる。
「服の鉛筆」は第32回日本文具大賞のサステナブル部門で優秀賞を受賞