へちまスキンケアセット

「へちま」で町おこし

射水市大島地区の特産品の一つである「へちま」。もともと水田が多く、米作りを中心とした農業が盛んだったこの地区で、40年ほど前に町おこしの一環としてへちまの栽培が始まった。当時の『へちま産業』は前身の麹屋を営みながら、兼業農家として栽培をおこなっていた。今では、へちま製品の製造販売を主とする全国的にも珍しい会社として、地元の小学生の社会科見学をおこなったり、県内外の物産展やショップに出品したりしながら、特産品のへちまを広めている。

代表の瀧田さん。へちまの魅力を県内外に伝えている
自社農場では毎年7・8,000本のへちまが収穫される
ショーケースに並ぶ過去の製品と麹屋時代の暖簾
へちまの産地としてPRしていた当時のポスター

1年はへちまとともに

へちまにも種類がいくつかあり、沖縄や九州の一部では、食用としても栽培されている。同社で栽培しているへちまは、製品への加工に適している「長へちま」と呼ばれる大きな品種。雪が解ける3月ころに種をまき、5月に自社農場へ苗を移植する。6・7月でへちま棚を覆うまですくすくと育ち、8月になるころには鮮やかな黄色い花が咲く。一貫して農薬は使用しない。8~10月に収穫は最盛期を迎え、約7~8,000本のへちまが集められる。丁寧な手作業を繰り返して、『へちま産業』の1年はへちまとともに移ろう。

1メートル以上にもなる乾燥させた長へちま
6月、へちま棚へと伸びはじめる
8月、花が咲き果実も大きくなる頃

余すことなく、製品を作り出す

へちまは、漢字では「糸瓜」と書かれることが多い。果実が繊維になることが由来とされている。『へちま産業』でも、収穫したへちまの果実を水につけて皮をむき、乾燥させ、その繊維をさまざまなものに加工している。たわしや風呂場で使うボディタオル、バスマット、靴の中敷きなどの日用品をはじめ、インテリアになることもある。繊維だけでなく、種からは油を採り、植えられている茎を切ることで出る水分は2~3日かけて抽出し化粧水や飲料水にし、葉っぱは乾燥させてお茶の原料にする。余すことなく生活に活かせる、まさに自然の恵みだ。

「富山プロダクツ」に認定されたインテリア「YULA」
乾燥させたものを輪切りにして、たわしや石けんトレイにする
カッターを使い、芯の部分と実の部分に切り離す
実の部分は圧縮してシート状にする
シート状にしたものをミシンで裁縫し、中敷きやバスマットに

へちまの心地よさを伝える「へちまここち」

自社ブランドの「へちまここち」では、20商品近くを展開し、さまざまなかたちで日常に馴染むへちまの良さを伝えている。なかでも人気が高いのは、スキンケア関連の商品。自然由来の素材を好む人を中心に県外の愛用者も多い。「へちまローション」は、江戸時代から美容のために使われていたとされる「へちま水」100%で作られている。一般的な化粧水などに使われる精製水に比べると浸透しやすいのが特徴で、肌トラブルのある人でも気兼ねなく試せるほどの低刺激も選ばれている理由の一つ。

美容成分が含まれたへちま水100%のローション
採取したへちま水はタンクに貯蔵される
へちまの心地よさを多くの人に広めている

相手を思いやるプレゼントとしても人気

保湿クリームの「へちま馬油クリーム」は、人間の皮脂に成分が近いとされている馬油と、へちまの種から採れる種子精製オイルを配合して作られる。顔・全身に使うことができるだけでなく、小さい子供や年配の人などあらゆる肌質に対応している。へちま葉を使った完全無添加の「へちま茶石けん」は、さっぱりとした使用感が特徴のものと、はちみつ入りでしっとりとしたものと2種類ある。身体にやさしいものだからこそ、日常使いだけでなく、贈り物にするのも安心だ。

自社農場の無農薬へちまを使用したスキンケアシリーズ
口に入っても心配がないほどの低刺激が特徴
さっぱりと肌にやさしい「へちま茶石けん」。茶色がはちみつ入りのもの