あずま袋

着物文化を発信する、アップサイクルブランド

「アップサイクル」という言葉を聞いたことはあるだろうか。SDGsやサステナブルといった取り組みでも注目されるアップサイクルは、資源を回収し、付加価値をつけて生まれ変わらせることを指す。富山市八尾町にある『tadas』では、日本全国から集まった着物を今の暮らしに合わせたアイテムへ仕立て直している。世代を越えて受け継がれてきた着物が、また次の時代へと送り出されていく場所だ。

『tadas』のアトリエ内には、アップサイクルされた商品が勢揃い
ミシンの音が響く空間も、心地よく感じる

日本人の知恵が詰まった、使い勝手の良い袋

風呂敷などの包む文化がある日本に、西洋の文化が浸透してきた江戸時代。カバンに憧れてマネしようとした庶民が工夫して、布を縫い合わせたのが「あずま袋」の始まりだそう。そんな昔からのアイデア商品は、現代でもさまざまな使い方ができる。エコバッグとして荷物に忍ばせておいたり、バッグインバッグとしてカバンの中身を入れ替えるのに使ったりなど、暮らしに寄り添う便利なアイテムだ。

シンプルな作りだが、使い方は多様
サブバッグとして、持っておきたい
肩掛けバッグとしても使える

何にでも合う袋は、組み合わせも多様

『tadas』の「あずま袋」は日本らしい色合いのものが全5色あり、セットの革ベルトも4色から選べる。ベルトは、バッグの生産時に捨ててしまう上質なヌメ革の端を活用してアップサイクル。こちらは他の袋にも使用できるので、1個あると重宝しそうなアイテムだ。あずま袋は着物はもちろん、洋服にも合わせやすく男女問わず誰でも使える。そして、着物を寄付してくれた富山県外の人向けに返礼品として送っており、喜びの声がたくさん届いている。

左から、霞(かすみ)・翠(みどり)・菫(すみれ)・蒼(あお)・茜(あかね)
ベルトは、明るい色から濃い色のものまで全4色
簡単に取り付けができる

セミオーダーであなただけのスタイルを提案

タンスに眠っている着物を持ち込んで、セミオーダーする人も増えているという。和裁や洋裁が得意な地元の女性たちが縫子さんをしていて、フォーマルやカジュアルといったスタイルから提案をしたり、サイズに合わせて仕立てたりしてもらえる。サイズにもよるが、着物1着からいくつかアイテムができ、ワンピースやシャツなどの服とあずま袋のような小物を作ることが多いようだ。自分用としてオーダーするのも良し、大切な人へのギフトとしてもおすすめしたい。

着物だけでなく、洋服にも合う
男女ともにプレゼントに喜ばれそう

日本だけでなく海外にも広めていきたい

『tadas』のアトリエがある八尾町は、有名な「おわら風の盆」のまちとして300年以上の歴史を持つ。全国各地や海外からの観光客も訪れており、「日本の美しい着物文化を発信する場所としての役割をより一層感じる」と、代表の原井さん。八尾のまちの人々とともに独自の文化を継承し、時代を旅してきた数多くの着物を新たな形に変えていくブランド。ここで生まれたモノたちは、日本に留まらず世界へと羽ばたいていくことでしょう。

着物の生地で、上品な装いに
八尾のまちから、着物文化を発信する