県内初の資格を持つ焙煎師のいる、コーヒー・スイーツのお店
呉西エリアを中心に多店舗展開する『19ヒトヤスミ』では、スペシャルティコーヒーやスイーツが楽しめる。カフェには意外な和風の店名は、 50年ほど前に寿司・和食のお店として創業した経緯を知れば納得できる。代表で焙煎師の渡邉さんは、 コーヒーに関わる国際資格「Qグレーダー」を富山県内で初めて取得したコーヒーのスペシャリスト。10、20代の頃のアメリカへの留学時に、現地のカフェ文化に魅せられ、その文化を呉西エリアにも広めるべく、珈琲教室やイベント出店などにも精力的に活動している。
伝統食を取り入れたキャッチーなスイーツ
南砺店で購入することができる「五箇山ぼべらモンブラン」は、伝統食材「五箇山ぼべら」を使ったスイーツ。五箇山ぼべらは、ラグビーボールのような楕円形のかぼちゃで、種や栽培方法を受け継ぎながら育てられている。栗に似たほっくりとしたやさしい甘さが魅力だが、これまでは一部の地域だけで消費されてきた。この伝統食材に着目しモンブランを作りはじめたのは5・6年ほど前のこと。同じく五箇山にある世界遺産・合掌造りの家屋に見立てたビジュアルに注目が集まり、今では県内外に知られるスイーツになった。
地産地消のスイーツで伝える富山の文化
地元の食材を使ったスイーツづくりにも積極的に取り組んでいる同店。多くのスイーツの原材料となる小麦や牛乳、卵などに県産のものを使うこともあれば、砺波市の柚子、南砺市の柿、高岡市の昆布のように伝統食材をスイーツに取り入れたオリジナル商品をいくつも展開している。伝統食材をスイーツにして親しみやすくすることで、富山食文化にまだ馴染みが薄い子供たちの食育にも繋がる。富山らしさが出た商品は、県外の人に向けた贈り物やお土産にもぴったり。
人の手をかけるからこそ喜ばれる
普段は富山県西部からの来客や地元の常連も多い。2022年春にはテレビ放映がきっかけで、「自家焙煎コーヒーロール」に全国各地から注文が相次いだ。商品が呼んだ話題の大きさからすると意外なこぢんまりとした工房で、パティシエの手作業で丁寧にロールケーキが作られている。『19ヒトヤスミ』の商品が手土産として喜ばれるのも、自家焙煎のコーヒーや自家製のスイーツなど、人の手がかかる商品展開や地元に根付いたあたたかいお店づくりがあるからだろう。