賞味期限10分という、ご当地スイーツ
「賞味期限10分」と聞いて、どんなスイーツなんだろうとワクワクしながら取材に訪れた。三角形のピラミッド型のチーズケーキは、女性の心をくすぐるようなガラス製ドームの器で提供される。思わず写真を撮りたくなるような佇まいだが、あまり時間をかけずに撮影するのが良いだろう。雪のように溶けてしまうケーキなので、10分以内に独特の食感を味わってほしい。ふわふわと白い雪が、口の中でとろけていくようだ。
宇奈月の名物となるものを作りたい
宇奈月ならではのものを作りたいという気持ちで、雪をイメージした真っ白なチーズケーキが考案された。持ち帰りのできるチーズケーキのほかに、何か目玉となるような商品を考えていたところ、口どけの食感を追求した、温度に非常に繊細なチーズケーキが出来上がった。立山黒部アルペンルートの新ルート(通称:黒部ルート)が2024年に開通することを見越して、雪山に似せたフォルムは黒部の山々をイメージしている。
ここでしか食べられない、純粋なチーズケーキ
『くろべ牧場』の牛乳をメインに作る、クレームダンジュというチーズケーキ。「幻のチーズケーキ」は、他のチーズケーキよりも柔らかさとふわふわ感にこだわっているため、三角形に整えるのがなかなか至難の業。夏と冬の気温差もあり、その時季ごとにチーズの濃度や工程などを少しずつ工夫して手作りしている。自然の厳しさをひしひしと感じながらも、ともに歩んでいく姿勢が大事なのかもしれないと思った。
富山の山岳観光を後押しする
宇奈月といえば、温泉やトロッコ電車を思い浮かべる人がほとんどだろう。昔は登山客が多かったようだが、今では観光客にシフトしている。オーナーの中島さんは、富山のお土産品を開発するなどして観光に携わり、「アルペンのイメージが少ない宇奈月も、立山黒部アルペンルートの第3の玄関口として盛り上げていきたい」と話す。黒部峡谷・宇奈月温泉から、”アルペンチーズケーキ”という世界観を提供していく。今は宇奈月だけでの製造販売だが、ゆくゆくは主要駅売店などで展開も考えているとのこと。ほかの観光スポットで食べられる日を楽しみにしたい。