富山の海と山がもたらす恵み
富山湾越しに臨む立山連峰。四季折々の姿を魅せる海と山の絶景は、自然に恵まれた富山を象徴する風景ともいえるだろう。変化に富んだ独特な地形は全国的にも珍しく、標高3000m級の立山連峰と、水深1000mを越える富山湾の高低差はなんと4000m。富山の豊かでキレイな水は、この地形によって育まれている。厳しい冬の間に降り積もった立山の雪はやがて雪解け水となり、森林や河川に潤いと恵みを与えながら海へ。富山湾の海底からは、この雪解け水が地中に浸み込み、豊富な栄養分を蓄えた海底湧水として湧き出している。そこで近年大きな注目を浴びているのが、海洋深層水の存在である。
地域資源「海洋深層水」に注目
ヨーロッパでは海洋医療といわれるほど実用化が進められている海洋深層水。そこに含まれるミネラルバランスは胎児を保護する「羊水」に近く、生物の血液や体液の成分と類似しているという奇跡的な成分バランスとなっている。富山の深層水を育む富山湾は、全国でも駿河湾や相模湾と並んで最も深い湾のひとつ。さらに年間を通して2度以下の低温を保ち、細菌や化学物質による汚染も少ない。立山と海との距離が近いことよって冷たく、キレイな状態で雪解け水が流れ着く富山ならではの特長も有している。事業化が実現した国内でも数少ない県として作物の栽培、飲料や食品の開発など、地域資源としての強みは少しずつ浸透してきている。
富山の魅力をもっと身近に
『青と山』の代表である青山嵩さんが海洋深層水を知ったのは、息子が抱える肌トラブルに関する手立てを探しているときだったそう。もともと富山市出身だった青山さんが県外へ出て7年。自然、食べ物、人、富山の良さを改めて感じながら戻ってきたことで、その魅力を伝えたい想いの実現に向けて動き出した。始めは美容や薬品の仕事を通して培ってきた知識に加え、書籍や論文、ネットなど個人で可能な範囲を調べることから。その後、全国でも品質において最上級といわれる富山産の海洋深層水を使ったオールインワン美容液の販売に向けて、富山市の五洲薬品株式会社との共同製作に踏み出した。
個人と企業の強みを活かして
平成8年より海洋深層水についての研究を進め、製品分野での利活用に成功した五洲薬品株式会社には全国から製作の依頼がくる。青山さんの富山に対する想いと、海洋深層水そのものが持つ成分を活かした製品イメージの一致もあって好意的に受諾。令和元年、余計な化学成分はなるべく加えない、自然体に近いものを目指して製作をスタート。成分はもちろん、幅広い年齢層の人に使って欲しいからこそ、青山さん自身の経験も活かして使用感にもこだわった。何度も試作品を製作し、個人と企業というお互いの持ち得る技術と発想を交えて「立山のおかげ」が完成した。
伝える原動力は、富山愛
海洋深層水はその奇跡的な成分によって生物の体にとても馴染みやすい。そのため「立山のおかげ」はしっとりと柔らかな肌へと導く。トロリとしたテクスチャーは肌に付けるとしっかりとした保湿力を感じることができる。完成に至るまで、青山さんの一番身近な存在である家族にも使ってもらった。自分自身だけではなく、肌の弱い子ども達や美容好きの妻と母、シミが気になる父など、忖度のないリアルな声を聞き続けたそう。1年かけて完成し、「富山にはこんな良いものがあることをもっと伝えたい」と話す青山さん。富山への愛情を原動力にこれからも魅力を発信し続ける。